森本誠司

「いつまでもサブフォーで走り続けたい」ランナーの対談企画。
今回は初サブフォー以降ほぼ全てのレースで4時間を切っている森本さんが登場。
目標は70歳でもサブフォーです。

森本誠司さん(68歳)
大学卒業後NHKに入局。定年を迎え、現在は視聴者サービス窓口で勤務する。 2006年荒川市民で初マラソン。翌年のつくばでサブフォーを達成した。自己ベストは3時間34分36秒(とくしまマラソン2010)

山ロー臣さん(56歳)
「THE POWER NEWS」主宰。朝日新聞社で週刊朝日編集長、出版販売部長、朝日ホール総支配人などを歴任後、独立した。フルマラソン自己ベストは3時間41分19秒(東京マラソン2016)

サブフォーを続けて君原健二さんに近づきたい

山口 森本さんは、サブフォーにこだわり続ける理由が君原健二さんとの出来事だそうですね。
森本 はい。2013年の青島太平洋マラソンに出場した際、ゲストランナーの君原さんを途中で抜いたのです。そして、私かが3時間40分台でゴールして、しばらくすると君原さんが3時間50分でフィニッシュしたと放送がありました。72歳だったようです。
山口 なるほど。
森本 その後君原さんのブログを見ると「とても楽に走れて気持ちよかった」と記述がありました。当時64歳だった私はそれに感動して「自分も70歳まではどんなに苦しんでもサブフォーを維持しよう」と決意しました。
それで昨年のつくばは3時間53分で走るなど、サブフォー・を続けています。

食道がんを克服しての初マラソン
山口 僕も大阪マラソンで君原さんを抜いたことがあるのですが、64歳でそう思うとは……。
そもそもの走り出したきっかけはダイエットと上司からのハガキだったのですよね?
森本 はい。1995年に禁煙による体重増加から「深夜徘徊」と称して夜に歩き始めました(笑)。そして体重も減った2004年、元上司からホノルルマラソンを走ったと年賀状をもらったことに刺激を受けてジョギングを始めたのです。ところが10分も走るとひざが痛くなった。いきなりの挫折です。
山口 原因は何でしょう。
森本 遺伝的にひざのじん帯が緩いらしいのです。それでも我慢して走っているうちに少しずつ距離が延ばせるようになり、5月に初レースの10qを59分4秒で完走しました。翌年は57分に縮まり、ハーフも走り切れました。しかし、今度は食道がんが見つかってしまいました。
山口 「フルマラソンを走る」という思いで克服されたのですよね。
森本 治ってみんなと走りたい。フルマラソンを完走したいという一心でした。幸いなことに抗がん剤と放射線による治療だったのです。月曜から土曜の午前中まで入院して抗がん剤を投与し、土曜日の午前中に解放されるんですよ。それで、家に帰ったら自宅周りを5,6q走ってビールを飲む。こういった生活を2ヵ月続けていました。走れたので、フルマラソンヘの気持ちを持ち続けられました。
山口 ビールも飲んでよかったのですね。
森本 治療中は食欲がなくなるので、主治医から飲んでいいから食事を食べてください、と言われました。走ってビールを飲んでがんを治したんです。
山口 それは最高の治療方法ですね。それで、初マラソンが2006年の荒川市民マラソン。この時はサブフォーを狙っていたのですよね。僕は8回目で達成しましたが、いきなり目指そうとしていたとは。
森本 無知でしたね(笑)。練習で10qを50分くらいで走れたのでこれはいけると思っていたのです。同行した妻にサブフォー宣言をしてスタートしましたが、20q手前からひざが痛くなりました。立ち止まったりさすったりして、なんとか4時間41分でゴール。予定時間でも全然帰ってこないので妻は担架で運ばれたかと心配したようです。
山口 失速はやはり痛みが原因だったと。どうやって克服したのでしょうか。

月間200qで筋力がつきサブフォー達成
森本 整形外科では前ももの鍛え方が足りないといわれました。筋トレをすることもあったのですが三日坊主でした。効果があったのはじっくり走り込んで筋力をつけたことですね。翌年の夏から月間200qを走ったところ、3戦目だったつくばマラソンでは痛みがごまかせる範囲になったこともあって、サブフォーができました。
山口 この連載を通じてお会いする方々も月200qを目安としています。
森本 今もそうですが、この時は年間で2600qぐらい走りました。200qは平均すると1日7qですから、平日週2回程度は必ず10q走って、休日は15〜20q走るようにしています。
月末は帳尻を合わせるために多く走ることもあります。
山口 帳尻を合わせるのはわかります。数字で安心するんですよね。私は「3日で20q」と考えるのですが、森本さんのような考え方もできますね。10q走ると3q貯金、とかですね。ところで、その年齢でもサブフォーを維持しているとはいえ、毎回ではないですよね?
森本 いえ、初サブフォー後は、肉離れで練習できなかった一昨年の湘南国際を除くと、出場している年間2、3レースすべてサブフォーです。ペストは2010年のとくしまの3時間34分で、NAHAやホノルルでもサブフォーを達成しています。
山口 え!!すごい。どうしてそれができるんですか?
森本 私の場合は、いつも根拠のない自信を持つようにしています。あと、5qごとの目標タイムを手に貼って走っています。
山口 NAHAやホノルルは坂がありますよね。僕みたいな平凡なランナーは上り坂だと苦しくなってしまうんですけど、秘訣なんかあるのでしょうか。
森本 練習で上り坂があると喜んで上るようにしています。その時はキロ6分を超えないように意識します。本番も心肺はきついのですが、脚は動きますね。
あと、どんなレースでも途中では絶対にあきらめません。

月例マラソンでは息子に勝つ
森本 毎月川崎月例マラソンに参加しているのもいいトレーニングです。1000円で3q、5q
、10qと全部のレースを走れるんですよ。
山口 ローテーションに入れているんですね。
森本 3q、5qを走って最後の10qを49分台で走ることを目標にしています。今は転勤で出られませんが、以前は35歳の息了とも一緒に走っていました。
息子はあまり練習しないので私が勝つのですが、抜かすとき「爺に負けるな!」と尻を引っぱたいていました(笑)
山口 息子さんに勝つっていいですね。若さ維持の秘訣ですね。
森本 私の基本は「健康で元気に遊び続けられる」ということなんです。元気でいるために、「サブフォー」という一段高い目標を設定して日々暮らしています。走ることは誰にも迷惑はかけないし、病気にもならなくなるし、マラソンを始めたときに「いい趣味を見つけたな」と思いました。
山口 そういう意味で、ホノルルの年賀状をくれたヒ司には感謝ですね。

 森本さんのサブフォー維持法

 ■トレーニング
 ・月間200kmをキープ
 ・上り坂を積極的に走る
 ・ウェブの練習日誌でモチベーションを上げる
 ・月例マラソン(3km ・ 5km ・ 10km)でスピードトレーニング
 ■レース
 ・目標ラップタイムを手に貼ってペースの目安にする
 ・どんなレース展開でも絶対にあきらめない
 ・(根拠のない)自信を持ってレースを走る